有機農業: これまで・これから

日本書

小口広太著
「農業も環境に負荷をかけないようにする」というのが世界の主潮となっている。有機農業の割合は、すでに欧州(2018年)ではイタリア15.8%、スペイン9.6%、ドイツ9.6%、フランス7.3%である。これらの水準に比べ、動きの鈍い日本はわずか0.5%で極端に水をあけられた状態のまま。
農水省発表の「みどりの食料システム戦略」は、2050年までに有機農業の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大するなどの目標を打ち出したもの。これまで専作化、規模拡大、コスト低減など市場原理優先の成長路線で突き進んできただけに、かけ声だけでは現場からいちじるしく遊離した絵空事になりかねない。
そこで、質的転換をはかるために必要なのが、まずは有機農業の実相、立脚点などの概観の把握、分析・検討。あらためて有機農業をめぐる内外の動向や生い立ち・進捗、取り組み形態、地域的な広がりなどを明らかにし、新たな展開への手がかりを探る。

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